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お茶の諏訪園
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2005/03/31 23:00 更新
ぶらくり丁にはたくさんのお店がある。昨今入れ替わりが激しく、我々はどう してもお店の「今」を切り取 って見がちだけど、お店一つ一つに開店から続 く時間があり、それがぶらくり 丁の歴史を作り、支えてきた。 今回は『ぶら くり丁で歴史の長いお店に話を聞いちゃおう!』シリーズの一回 目。(結 局、歴史話はそっちのけで雑談に花が咲いたけど)

今やお茶だけでなく、和風カフェとしても和歌山のあらゆるメディアに注目されている大人気の店。「ゆっくりお茶を味わってもらいたい」と店内に和テイストのテーブルと椅子、カウンターを置いた。

道具ものがセンスよくディスプレイされ、年代を感じる重厚な木の看板とお茶のいい香りが落ち着いた空間を作っている。
女性同士のおしゃべりの場として、若いカップルの落ち着いたデートスポットとして口コミで客層が広がり、それに伴って和菓子付きの各種お茶セット(520円〜650円)、抹茶ぜんざい(500円)ゆず茶(250円)などメニューも増え、さらに気軽に利用できるようになった。

抹茶ソフトのメニューも充実。抹茶が濃くてとってもおいしいのでもう少し暖かくなったら、え?寒くても大丈夫?じゃあ、今すぐ食べてみて! 店内にはカフェメニューのほかにもちょっとした手土産から本格的な贈答品用まで、勿論お家で楽しむためのお茶も宇治茶を中心に各種揃っているので、ゆっくりと選ぶことができる。

今話題の花粉症予防に効果があるといわれている『紅ほまれ』も商い中。お茶の味の違いや、淹れ方などは、店主であり日本茶インストラクターの資格を持つ永原敏行(ながはら・としゆき)氏にぜひ尋ねてみよう!

073-423-1154
(代)073-428-3275
和歌山市新堺丁40
 

日本茶インストラクターとは社団法人日本茶業中央会が認めた「日本茶文化の発展と日本茶の正しい理解と普及を図るため、茶についての幅広い知識、技術、教養を備えた人」に与えられる資格。和歌山では数名が持っているだけの非常に難しい認定資格だ。最近日本茶の効能が大きく紹介され、資格を取ろうと勉強する人も多くなった。

しかし有資格者でありお茶のオーソリティ永原さんの持論は実に単純明快(失礼)。「お茶は心遣い」だということ。 「どれだけ高いお茶かなんて関係ない。気持ちを込めれば心和む家族の時間やお客様へのおもてなしが出来ると思ってます。

だからこそ、そのお茶に合った淹れ方をアドバイスしたい」。 お湯の温度によって苦くなったりまろやかになったり、お茶の葉の量も開く待ち時間も違う。 まわし入れたあと最後の一滴まで絞る。「知っていれば誰でもおいしいお茶が淹れられるんです。難しい作法なんか要りません。

ペットボトルのお茶じゃなくて急須で丁寧に淹れてください」。 そう言いながら永原さんが淹れてくれた煎茶はこれまで飲んだ中で1等おいしかった。

 

諏訪園創業はなんと1862年(文久2年)というからびっくり。将軍は14代徳川家茂、薩摩・長州・土佐藩の幕末の獅子達が動き始めた時代。大正時代大火によって建て直しはしたものの、ずっとぶらくり丁で商売を続けてきた。

もともとお茶の歴史は古い。中国から煎じ茶が伝えられたのが8世紀と言われている。その後も中国から色んなお茶が持ちこまれ、戦国時代には日本独特のお茶文化が生まれた。歴史の時間に習う「千利休」登場は16世紀のお話。

江戸時代には宇治から「お茶つぼ道中」も行われたほど、大切に扱われた。お茶の習慣は日本中に広まったが、あくまで一般庶民は自家製のお茶を飲み、今のように茶葉をお店で買うようになったのはずっと後のこと。諏訪園開店時に扱っていたのも「日本茶」より「抹茶」が中心だった。

貴族・武家は茶道を会得しており(紀州藩は「表千家」)、ぶらくり丁に近い色町の芸者さんも芸の一つに茶道を習っていたという。 「大正生まれの父が小学生の時はまだ『お茶ひきさん』という専門の職人さんがいて、石臼でひいた抹茶を量り売り(単位は匁=もんめ)していたそうですよ。お客さんは持参の茶筒に10匁(33g)を買って帰るというようなほのぼのした商売。そうそう、お茶は薬の一つだと考えられていて、うちも漢方薬と一緒に取り扱っていたようです」と永原さん。「子どもの頃から身近にあったものだけど、お茶の歴史を調べていると道具一つにしても深くて面白いんですよね」と店に置かれた茶壷、茶器、茶高炉を見ながら話してくれた。

しかしながら、歴史やお茶の話以外でも政治経済話をはじめ永原さんの雑学王ぶりはすごい!「知ってることを話しているだけ、知らないことは話せないもんね(笑)」と謙遜していたが、日本茶ならぬ、日本常識インストラクターとしても活躍できるのでは。親しみやすいキャラクターも諏訪園人気の秘密の一つかも。お店のこともっと詳しく知りたい方は諏訪園HPを見てね。
http://suwaen.com/

次回は「帯伊書店」さんをご紹介。お楽しみに。